「さぁちゃん、跡部さんよ!」

そんなこと、いわれても。


第25話  これが私のほくろさま




目の前で、でででん! と居座ったお兄さんは、泣きぼくろだった。いやいやいや、それ以外にもチェックすべきところはいっぱいあったはずなんだけど、何でだろう。何故か見た瞬間「あ、ほくろ!」とか叫びそうになってしまった。ううん、あんなにそれが似合ってる人を見るのが初めてだったからかもしれない。

改めて見てみると、茶色をもっともっと薄くしたような御髪と、お目々は、なんだか外国人っぽいなぁ、とこっそり。今すぐ「ハーイ! ハワーユー!」とか叫ばれたらああなるほど。とか思う。けれども残念ながら日本語はペラペラだった。ざんねんだ!


柔らかいソファーにふかふかと沈んで、一対一でじー、と目の前の跡部さんと見詰め合ってみる。じー。じー。じー。じー。(あれなんだこれ)
大体跡部さんっていったら何なのか私にははっきり分かっていないんだけれど、取りあえず、おとーさんもしくはおかーさんのお知り合いらしい。何でも私が青春(ぷっ)の初等部に入学するときに、善意でいくらか寄付をもらったとか、学校に出したとか(………だから、不二さんが、なんかいってたのか)(そうかそうか、私立に途中転入ってちょこっとおかしいと思ってたんだ)
目の前にいるのは、その息子さんだ。


そんなこと、あるのかなぁ、と天井を見上げてみれば、キラキラとしたシャンデリア(たぶん)。………すげぇ、と呟くよりも先に、つっている天井から真っ逆さまで落ちてきそうで本当にこわいです。だってテレビドラマとかで真っ先にそれで死んじゃうんだよ、勘弁だよ。
そんな訳でとっても恐いので、落ちても多分被害が出ないだろうギリギリのはじっこに寄っていたら「何してるんだ」と跡部さんに突っ込まれた。私からもいわせてもらいたい。跡部さん、あんた下手したら脳天直撃ですぜそれ!


後は若い人たちで! とでもいいたげに、すごすご皆さん他のお部屋でヲホホホホ! とか会話しているに違いない。くっそうなんだこれ。
息子さんも不機嫌そうな顔をして、格好良さげにポーズをつけていた。

「………食べないのかよ、それ」


ささっ、と息子さんが私の目の前のお茶菓子(と思われるクッキーその他)を見て、「た、たべます」とお口にぱくり。うお、うめぇ。その瞬間、ポロリ、と食べかすがこれまたおきれいなテーブルに零れた。「あ」

ささっ、と跡部さんが手を出す。いつの間にかのっていたナプキンで、さっさっ

お茶を飲んでみた「うおっ」
ぴちゃんとはねた紅茶が、ぽとり。
跡部さんが、さっさっ

(………なんかこう、このひと)

「食べないのか」

もう一度、一言。

こっそり、わざと口元に食べかすが出るように、食べてみた。じー。跡部さんを見てみると、ささっ、と違うナプキンを取り出して、乗り出したテーブルの向こう側から手を伸ばす「おい、口元についてるぞ」ふきふきふき 「べつに、いいです」「よくねぇ、汚いだろうが」 ふきふきふき


(………なんか、面倒見いいひとだな)


取りあえず、クッキーおいしいです。「おい、零れてるぞ」 うひっ






  



2008.05.29