「どどどどどどうしましょー!?」

story12




「知らぬでござる」


赤がトレードマークの青年は、素知らぬ顔で目の前のレモンソーダをずるずるずるっと吸い込んだ。そのとき私は相談する相手を間違えましたとやっとこさ気づき、べったりと喫茶店の冷たいテーブルへと顔をひっつける。
そのまま置いておいたコーヒーを右手でちょいとひっぱり、こくりと飲み込めば、とっても苦かった。

「ぬ、ううう」
「む、そのようなもの、よく飲めるでござるな」
「だ、だって佐助くんが、の味覚はお子様だねぇ、ってバカにするから、これでも慣れようと、慣れようと……」

改めて彼の名前を出せば、顔が真っ赤になっていく。
幸村さんはむむう、と首をひねりながら、今回は私のおごりです助けてくださいと懇願した、ロバとにんじんに近い関係の真田幸村と甘味であるチョコパフェをむぐむぐと美味しそうに口へと含みながら、「ふむ、つまり佐助からの好意にやっとこさ気づいたという訳だな」とこちらをちらりとも見ずに発言した。

「ここここここ好意って、そんな簡単に、いわないでください!」
「しかし」
「しかもやっとこさってなんですかさも自分が分かってたみたいにかっこつけちゃダメです!」
「丸わかりでござる」
「やめてくださいやめてください何だか泣けてきたのでやめてください」


なんでだろう、なんで幸村さんはこんなにどうでも良さそうな態度なんだろう。こんちくしょー! とじろっと睨みあげるのもなんのその、彼は幸せそうに銀色の小さなスプーンを動かし、お口の端っこにクリームがついている。
なんだか怒る気が失せてしまった。でも幸村さんおごりはなしです。割り勘にしましょうね。

「某男女の関係は」
「だだだだ男女のかんけい!」
「………そのような行為は」
「こここここ行為!」
「……………そのようなことは、よくわからぬが、つまりは殿が、佐助をどう思っておるのかという話なのではないか?」

あんまりにも正論に、私は思わずぐいっと押し黙って、誤魔化したように苦いコーヒーを口へと含んだ。覚悟をしていたものの、ううう、と舌を出して、備え付けのシロップを、どっぷりと入れる。
「わからぬのか」

答える事ができなかった。


「難しいものなのだな」と彼はぽつりと呟いて、「しかし某にも、これだけは分かるぞ」と、やっぱり忙しなく銀のスプーンを動かしたまま、彼ははっきりと呟いた。


「何事においても、逃げてはいかん」



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1000のお題 【451 役立たずの助っ人】

2008.12.21

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