自分とご主人様の仲はちょっと微妙なようです
第4話 過保護な理由
バタン、と閉め出されたドアを見つめて、目を一、二度パチクリパチクリ。
「今から6時まで帰ってくるな」そう言いながら押し出された先はマンション廊下。
何で追い出されたんだ、と頭の中で考えて、もしや自分は何かご主人様の気に病むことをしてしまったんじゃないかと嫌な予感が頭の脳内にぐわりと広がった。
「ごじゅじんざまーーーー!!! みずでないでー!」
ドアをドンドンドン。微妙(?)に涙声になりながら、力の限り叫ぶと、ガチャリと回るドアノブ。(やったー!) ご主人様の額にゴゴン! という初っぱなの恐るべき事件を巻き起こさないように(痛いのヤだし)すすっと移動して、ドアは綺麗に軌道線を描いて開く。
「ごしゅじ」
「うるさい黙れ剣之助だ」
バタリ
「ごごごごごごご、ご主人様ぁーーーーーー!!!?」
完璧に見捨てられました。
ぺたりと座り込んだその場にほろほろと涙を落とす。
(多分次ドア叩いても開けてくれないだろうな)(っていうかその時こそ解雇決定だな)
契約期間は一年間。
本当に、この調子で大丈夫なんでしょうか。
この仕事に選ばれた理由ともいえる髪をカリカリと引っ掻くのが、いつの間にか癖になっていた。銀のその髪は、本当にご主人様の髪の色と似ている。だからこそ、偽親戚の役に選ばれたってものだ。
(イトコとして、橘 剣之助様の世話をする事)
契約書内容の文面をゆっくりと思い出した。
(そして)
きっと今自分は苦虫をかみつぶしたような顔をしているだろう。
はぁ、と吐くため息が空しく響く。
(そして、一人暮らしをしたいと希望した理由を明確にし、雇い主への報告)
「過保護にも、ほどがあるってもんですよ…」
はあ、ともう一度ため息を落として顔を上げた先には
「わふ」
一匹の、犬がいた。

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