「君がシュタインの面倒見ててくれたの? ありがとう!」
「いや、面倒っつーか、あ、遊んでた、だ、だけで、すんで」
第6話 似非でいこう
そうなの? でも有難う! と爽やかに笑う、赤髪(いや、夕日色かも)の少年。
パタパタと尻尾をふるポチ、もといシュタインくん。
何故だろう、何故なんだろう。この悪寒。
彼がニコリと笑う度に一本一本の毛が逆立つような感覚を自分は覚える。
思わず下へと落とした視線に、どうしたの? と聞く彼。
「なんでも、ない、デスヨ」
「そう? よかった」
にこり、と笑うと、にこり、と返される。
(似非爽やかだ)
そうだ、コイツは似非爽やかなんだ。
「じゃあ、自分はこのへんで」
「あ、えーと、君、名前は?」
アンタなんかに名乗る名前はありません
と出そうになる言葉をぐびりと飲み込んで。
「、ですよ」
「僕は華原。…ここの住民?」
「はあ、そうですけど」
「へえ、そうなんだ」
名前を聞いてくる彼。
けれども多分、その興味は自分に向いてないって所がよく分かる。
『へえ、そうなんだ』
何号室? じゃなくて、へえ、そうなんだ。明らかに、礼儀で必要最低限な事しか聞いてこない。親しく接しているようにで、突き放したような、そんな、彼
ゾクゾクゾクッと立ちまくる寒気にもう自分は限界です。
「じゃあ、さようなら!」
「ああ、じゃあね」
パタパタ、と手まで振ってくれる彼、いや華原君。ハハハ、と微妙な笑顔を返しつつ、自分はその場を後にした。っていうか逃げた。
その後、こきりと首をならして、めんどくさそうに欠伸をした華原君が居た事なんて、知らない。
「怖え、あの人超恐いッス」
一人ガタガタと震えつつ、二の腕に出来た寒気を抑えようと、かさかさ手で何度も触る。今でも、じゃあね、といった華原君の顔を思い出しただけでゾワリ。
「ひー!」
似非爽やかに免疫はないんですよ自分は!
恐ろしい思い出を一人で思い出して、小さくなりながら、街の中を徘徊する。
「今から六時まで帰ってくるな」そう言った自分のご主人。一体何をする気なんだろうか、とほんの少しの興味に、ご主人様も男の子なんだからしょうがないよね、という罪悪感。そして、
それこそが、今回の任務の一部、一人暮らしをしたいと希望した理由と関係しているんじゃないかという義務感。
そこまで考えて、まあいっか、と空を見上げた。
契約期間は長い。理由を明確にせよ、それだけが任務だったら、さっさと終わらせたかもしれないけれども、家事一端も一応任務だ。
「のんびり行きましょうかねぇ」
んん、と伸びを一回して、辺りを見回す。
沢山の人、人、人の集まり。
人がゴミのようだ!
じゃなくて。
「そう言えば、食料買い出し以外、街の中歩いた事ないんですよね」
まあ、町中探検と行きましょうか
自分は、歩き行く人のゴミへと紛れていった。

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