「ご…ごーしゅじんさまー」

開けて下さーい…


第12話  始まれ!




チャイムの前でただただ突っ立って、約5分。
こそっと小さな声での呼びかけにも、反応なし(当たり前ですかね)
あれですよ、アレ。ただ人差し指をぴしっと伸ばして、ぴしっとつっつけばいいだけってのに、なんだろう、この背中にひたひたと流れる冷たいものは。


(時間確認、6時、30秒前)


左腕へと設置された時計をちらちら見つめつつ、顔は引き締まり口は一文字。
だって、ほら、また、出てけ、なんていわれたらと思うと。
仕事以前に、自分は一人の人間なのでありまして。


(15秒前)


せっかく颯太君のお陰で立ち直りかけた気持ち(別名高まったテンション)が、どっかにふっとんで行きそうな程、ばくん、と心臓がなる。


(10秒前)


これはお仕事、お仕事、お仕事なんです。
だから、だから、絶対放り投げたりなんかしない。しない。しないったら!


(5秒前)


だってだって、自分の居場所は、きっと


(3秒前)



ふ、と一回息をついた。

ゆっくりと、手を伸ばした。



(2秒前)


ドアノブへと


(1秒前)


前を、見据えて      自分は








がごんっ



  



2006.10.1