どすん、と座ったソファーに座ったご主人様を後ろに


第15話  ダメですよ




ガチャガチャと器と器が合わさる音が聞こえる。
泡だらけになった自分の手を見つめながら、わしゃわしゃと丁寧に丁寧に水で洗って。


「今日さ」

背中越しに聞こえた声に、耳を預けて、「なんですか」といった意味で、自分の出す音を小さくさせた。そのまま彼は話を続ける。


「鷹士さんの、妹に会った」


鷹士さんの妹さんなら、さぞ美人だろう、と勝手に頭の中で想像させる。
(ちなみにご主人様が鷹士さん、と呼ぶようになったのは記憶に新しい)
(鷹士さんが、グッと親指を立てて、『鷹士でいいぞ!』といってきたらしい)


「すげぇんだよ、俺初めて見た」

(そんなに可愛かったんですか…)
かちゃり、とまた音がなる。勝手に頭の中で想像させる鷹士さんの妹さん。
きっと茶色い髪で、小さくて、護りたくなるような女の子なんだとむくむくと膨らむ想像に、今度自分も会ってみたいなあ、と思う。


「俺、初めて見た。あんな、でっかい制服」

でっかい制服? とうん? と考えて、くるりとご主人に向き直る。

「ご主人様」
「なんだよ」
「だめです」
「あ?」
「女の子に、そんな事いっちゃだめなんです」


分かりましたか! というかけ声と一緒に、ビシリ、と指された指の先を、ご主人は見つめて。


「…ご主人様は、やめろ」


(ああもう全然分かってない!)



  


2006.11.24