わしらはー断固ー抵抗するー!」 「「「抵抗するー!!!」」」 「自由をー取り戻すんじゃーい!」 「「「取り戻すー!!!」」」 聞こうじゃないか、お前の言い分 こいつらは一体何をやっているんだろう、とオウキーニさんと並べられながら、私は考えた。手首へとぐるぐるに巻き付けられたロープが、まったくもってこないだと同じじゃんと自分自身にむかっ腹が立つ反面、目の前の男達の騒ぎを見ていると、ふとどうでもいい事のように考えてしまう。 「うおー!! この道はワシらが占拠したー! 岩を落とせー!」 「「「アイアイサー!!!」」」 毎度のことながらの呆れる連携プレーで、こんもりと膨れあがった丘の上に、数人が手の中に持った小さな石を、さささっと天に掲げた。ピッタリと同じタイミングで、その石をひゅんひゅん投げ、小石の雨が降る。 人間ではない、異質な耳を持つ召喚獣が驚いたように飛び跳ねて、手の中に持っていたカゴを落としながら逃げまどった。 今度はどこからか持ってきたのか、船員の一人は、くるりと丸く、黒い物体を取り出した。その導火線へとこすったマッチを近づけ、ぽーい! と放り投げる。 パチパチ独特の回転をかけながら、ユクレス村の住人達の足下を駆け抜ける。ひええ、と逃げまどう彼ら。ねずみ花火を自慢げに投げ続ける彼らにツッコミを入れたい。 「やってることが、しょ、しょぼい………!」 なにしたいんだアイツら 取りあえずここから見る限り、逃げる途中ですってんころりと転げた少女以外、けが人はいなさそうだ。ちょっと膝いたそう。 なんなんですか、と隣のオウキーニさんに目線を逃がすと、私と同じように手首をくくられ、でっぱった顎が、心なしかぽこんと下がっているように見えた。しょぼくれているらしい。 「ううう、こないなことしてもしゃーないですわ」 「……そうですねぇ」 気づけば随分な人通りになり、島の護人まで集結してしまっている。「故郷のーお袋さんがーないてるぞー!」とヤッファさんが大声で叫んでいた。「ぬううワシのお袋は母なる海じゃーい!」 どっかんばっかんどかどかどーん。 どんどんと大きくなる騒ぎの音に、なんじゃあ、と眉をしかめているのもつかの間。アティさん含み、全員勢揃いの状態で、ずらりと顔を並べていらっしゃる。 「チィ!」とジャキーニはでっかい舌打ちをし、「下手な真似をしたら人質の命は保証せんからのう!」とオウキーニさんの首もとへと、びしっ、と短めのナイフを突きつけた。 た、たすけてぇー、となんともいえない彼の声が聞こえる。 そんなジャキーニの本気かネタか分からない行動に、私は半分嫌気がさして「あのですね、こんなとこでうだうだしてても、しょうがないと思うんですよ、どうすんですか」 結局、島の外へ出る事ができないのは、みんな同じなのだ。結界があるかぎり、ぐるりと元に戻ってしまう。 そんな哀れな目でジャキーニを見詰める私を馬鹿にするかのように、彼はフン、と鼻で笑い、 「再戦じゃあああああーーーー!!!!」 熱く熱く、海の男の声をとどろかせたのだった。 ぴかり、とジャキーニの手のひらが光り、ごつい手のひらの中に隠されていた緑色のサモナイト石が、光の渦を作る。くるくると丸いカバのような、ピンクの召喚獣が飛び出し、「召喚獣ってホント誰にでも召喚できるんだぁ」と思う反面、ジャキーニが出来て私が出来んのかと悔しいような空しいような気分になる。 ビシバシ拳と拳がぶつかり合う状況を見詰め、いつの間にやら隣で繋がれていたはずのオウキーニさんもジャキーニ側として参戦している。人質じゃあないのか、とため息が洩れた。 「………くそう」 私だって成長してるんだぞ、と軽く腕を振り、袖の中へと忍ばせておいたナイフをさきっちょだけ取り出す。ギコ、ギコギコギコギコ。のこぎりのように荒縄にぴったりと貼り付け上下させ、時々やってくる召喚獣を、足ではたく。 こんな事をしている場合なんかじゃないはずなのだ。手がつりそうになる作業を進め、先ほどのジャキーニと同じように、チ、と舌打ちをする。 はらりと簡単に落ちた縄を右手で握りしめ、面白いくらいにこっちへと後頭部を向けていたジャキーニの、赤髪が見えた。「あー、くそう」 慣れ親しんだ靴をすぽんと脱ぎ、ぎゅっと右手に持つ。 ぐるん、と振りかぶって、思いっきり。パカン! なにするんじゃい! とこっちを思いっきり振り返ったところで、もう一方の残った靴を、またまたパカン! アホな事せんと、ええかげんにせー! と思いを込めて、力一杯投げた。 BACK TOP NEXT 2008.10.10 |