「俺今から、試験があるんだよね、一人前の召喚師になるやつの」



 ガツン



はごろりと仰向けにねっころがりながら、「へー、がんばってぇー」とそのままうつ伏せになる形へ移動し、ぼそりと呟いた。
とすれば、一人前でもなんでも好きになってくださいよ、とちょっとどうでもいい。ぶっちゃけ還れればなんでもいい。「ー」と半分泣き出しそうな声でつっかかってくる青年に、「なんだよ」と多少ならず多大にうざったそうに彼は起き上った。

気のせいか、ぽっこりと膨れ上がっているマグナの額へと視線を投げ、ネスティあたりにやられたんだろうなぁ、とあの人意外と暴力的だよなぁ、パンチ力あるよなぁ、と犬猫を追い払うように手のひらをしっしと動かす。「ほらほら行ってきなさい、俺はここで力の限り応援しとくから」

六甲おろしくらい歌ってやるさ、とぐっと親指。は案外野球好き。
ちなみに別に闘魂をこめてやっても問題ない。


「いやいやいや」
「行けってば」
「だからさぁ」
「ネッさんに怒られるんぞ」
「それはヤだけどさーん」
「なんですかもー」

「君も一緒にテストだから、ほら、護衛獣だし」

思わず頭突きをくらわした。ガツン。




「遅い!」

舌を回すほどにいかつく、ネスティはぐいっと腕を組み、仁王立ちしながら見下ろす視線の先にはお互い額を赤くはらせたマグナとが、むっつりとした表情でサカサカ歩く。
聞いてないぜ、いってないもん。







現在彼はよくわからんなぁ、と腕を組みながらも、叫ばれる罵倒を聞き流していた。
ラウルと呼ばれる人の良さそうな顔をした中年の男性は、どうにもマグナのお師匠さんらしい。彼は困ったように眉を歪め、カッ! と開いた口をふさぐことのないフリップと呼ばれる、今回の試験管を見つめていた。彼はどうにもマグナのことがあまり好きではないらしい。

不真面目な生徒だからなのかなぁ、と思いつつ、成り上がりと吐き出された言葉は、よく理解できない。こっそりとマグナへと耳打ちしようと思ったのだけれど、流石にちょっと空気がよめてないことはできなかった。
(試験って、何をするんだろ)

はてっきりペーパーテストかなにかだと思っていたのだが、学校の講堂のように広い建物の中へ、ぽつんと4人。目の前の長細いテーブルには、コンコンコン、と4つの奇麗な石が並んでいる。サモナイト石だったかな、と思わず首を傾げた。少なくとも筆記用具は準備されていない。

うーむ、と唸り腕を組んだ状況で、ゴホン、と改めたように咳をついたフリップへと視線を戻す。

もったいぶったように彼はセリフを吐きだした。「目の前のサモナイト石を用い、お前の助けとなる下僕を召喚してみせよ」 でっぷりとした指をマグナへと突き刺し、ぐいっと顎をあげる。ぷるりと顎の脂肪が震える様はちょっと微笑ましい。
が思わず「下僕?」と目をひんむけば、マグナとラウルは固い表情だ。

「そ、そのことなんですが!」

ひょいっとあげたマグナの右手が、所在なさげにわきわきと握られる。なんだとでもいうように半目で睨むフリップに、ラウルへと助けをこうように視線を向け、そのままふらふらとさせながら、多少裏返っているような声で、さっとへと手を伸ばした。

「えーと、ここにいる彼は、一応、その、俺が召喚したんですけど」
「だからどうした」
「そのー、もう一回召喚しなきゃだめですか?」
「バカか! 試験管の前で、召喚を遂げてこそ一人前の証だ! お前はこの試験の重要さを理解できていないのか!」

一喝されたセリフに、マグナはしょぼんと肩を落とし、ですよねー、とぼそりと呟く。まぁうん、試験管の前で、ズルなしで召喚したという証拠がなければだめだんだろう。それはしょうがないなぁ、ガンバ、とぐいっと親指をたてれば、力なくマグナも小指をたてた。なんでお前小指なんだ。

彼は紫の髪をぶんぶんと振りまわし、次にトントン、と胸を小さく叩き、短い深呼吸を繰り返した。
サモナイト石は合計4つ。キラキラと光を吸い込み反射する様はさながらどっかの宝石のようだった。


今から、自分と同じ境遇の誰かを作るのだ。我ながら微妙な気分だなぁ、と思うの心情など知らず、ゆっくりと、マグナは手のひらを伸ばした。


きらりと光る、その色は



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我ながら、凄くいやなところで切ってみる

2008.01.07

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