10
ぶくぶくと泡立つかのように、現れた地表に、一つ一つの突起が盛り上がった。波打つそれは周りの大地を押しのけ、大きな亀裂を表しながら、天へと突く。崩れ、こぼれ落ちた小石をぱらぱらと足下へと集めながら、ただ、突く。
何かが千切れるかのような、大仰な音を立て、足下が崩れ落ちた。私は飛び乗るように駆け上がり、手を真横へと引く。
ぼう、とまきあがる炎が、まるで蛇か何かのようにぐるりと何十にも大地を締め上げた。赤く、熱せられたマグマのように表面を溶かし、それはまた弾け炎は大地に四散する。
炎の残りがを手のひらへと集め、ぐるりと大きく手を回す。
突如手のひら赤く輝き、大きくつかみ取るように、ぐぅ、と強く大気を掴んだ。
ビクリ。揺れる。ゆるい振り子のように大地は踊る。
「………残念なんだけどさ」
ぶつぶつぶつぶつぶつ………。小さな突起が、生まれ、ビデオの早送りでも見ているかのように崩れ落ち、また生まれ、消える。バラバラに消えた粉末がまきあがり、視界を白く染める。
「もうちょっと、眠っとこうか」
まだ、これは彼女には早い。
はじけ飛んだ光の渦と合わせ、盛り上がり、ひび割れた地面は収縮する。真っ直ぐに立ち上がりながら、軽く、地面を足先でえぐり取った。
ただの土だ。
くあ、と軽くしたあくびに、右手をパタパタと振り、目の端に浮かんだ涙を手の甲でぬぐう。そのとき丁度見えた腕時計の時間に、「あぁ」と短い、ため息のような声を漏らした。
くるりと踵を向け、段々となった山の地面を足で跳ね上がりながら、駆け抜けた。
手のひらが、少し熱い。
(………バイトに、遅れてしまう)
赤く染まり狂った木々を通り抜けながら、柔らかい光の渦が背中へと差し込み、長い影を、目前へと作り上げた。
赤く、影が染まる。