あ、サル


第5話   先輩!




明らかに、キラキラりんと髪の毛が光っていた。

俺の頭の中には全校生徒の顔を覚えている訳じゃあないが、頭くらいは覚えていた。
正確にいえば朝礼のときに俺たちは一番手前で立ちっぱなしなまま、座っている生徒を見る訳で、そんな中、黒以外のそれ染めてるだろー! の髪の毛をしたヤツは厳重チェックで「オラオラバリカンで剃るぞこの年で染めてて将来禿げてもしんねぇからなバーカ!」と各クラスの担任にチェック要請を頼んでいるからだ。

そのお陰か、うちの高校で頭を染め上げている人口は極端に少ない。うん。卒業してから好きなだけ染めなさい。俺だっていちいちいうのはちょっとメンドイのよ。



そんな訳でじゅるじゅると牛乳のパックを啜りながらグラウンドを横切っていた俺は、キラキラ光る金髪頭を発見した瞬間「おいおいなんだよ昨日まであんなのいなかったぞ遅めの高校デビューですかもう」とストローに思いっきり息を吹き込んで、パックをぱんぱんにし、満足した後でおらおらー! と駆けだした。

「じゅわっちゃ!」

思いっきり金髪の膝へと回し蹴りをくらわし、膝かっくん上級バージョンをなんなくやってのけると、金髪の身長が俺と同じくらいののチビは「ふんがぁー!」と奇天烈な叫び声を上げながら、ずざずざ地面に突っ伏し滑る。
いてぇよ! と叫んで振り返った頭は、よくよく見れば頭から二本の触覚が飛び出ているらしく、ひっぱりたいなうずうずとか思ってしまったのは置いておく。後で。それ後で。

「なにすんだこのちびっ子がぁー!」
「ちびじゃねぇよちーび!」
「ちーび!」
「ちーび!」
「びーち!」
「び、あれ!」
「うははぁ!」

勝ち誇った金髪にちょこっとイラっとしながら、ああもう、と当初の目的を思い出した。「おいお前」 ずびし。「なんだおら人に指さしちゃいけません」 ずびしずびし。「おう悪いな」 ずびしずびしずびし。

「高校生が金髪に頭染めてるんじゃありません!」
少なくともうちの高校じゃ認めてねー!

文句あるかー! と右拳を振るうと、金髪のなんだか小ザルっぽいチビは、嫌そうに眉を寄せた。あんまりにも一瞬の事だったけれども、なんなんだよ、ともう一回彼の顔を見てみると、よくよく見れば瞳の色が黒くない。(………あれ)


「ごめんきみそれ地毛かな」
「うん」
「でも昨日まで居なかったよね」
「転校生だし」
「あ、そっかぁ、そっかぁ、………

えへ、ごめん!」


なんとなく気まずかったので、てへへ! とアピールするように左肩をぐいっとあげながらウィンクしてみると、同じく金髪頭にウィンクされ、がっと肩を掴まれた。そして目の前に金色の何かが迫り

「いってぇー!!」


ヘッドロックは超いたかった。
(でもちょっと反省した)



  


2008.10.15