俺は、多分変だ。


第4話   神様俺はいったいどうしたらいいんでしょうか




まだまだ日差しは厳しい中で、俺は一人、ポケットにつっこんで一直線にぼけっと立っていた。別に暑い事が問題なのじゃなく(つーかそろそろ体育祭だよな)(「花井アンカーな!」と、誰かがいっていた)
きゃーきゃーと聞こえる子どもの声に、俺は、本気で何してるんだろう、と思った。


目の前で、ゆらゆら揺れるブランコ。するりと小さな子どもが滑り降りた滑り台。ぎらりと銀色に光る鉄棒(………公園)(なんで俺は、こんなトコに)
違う。別に俺は、この場所が目当てなんじゃない。ここをもう少し離れた、曲がり角。丁度曲がるときに左右を確認しないと、誰かとぶつかってしまうような     曲がり角。


ぽろっと、ほんの少しの涙を零した女の子。高めな位置でくくられた髪の毛が、ふわりと揺れて、微笑んだ顔は、…………かわいくて。
(なんで俺は、また来たんだろう)
トクトクトクトク。気のせいか速まった心臓の音に、本気で首を傾げそうになった。暑いからだろうか。(俺、一応受験生なのにな)(図書館でも行って勉強した方がいいんだろうか)


ジャリジャリと音がなる砂を、足で蹴る。ばさっ。軽く地面の向こうにまかれた真っ白い煙をたててくるくると風にながされるソイツらを見る。
(………なんで、俺、こんな)


俺は、多分ものすごく後悔している。メシ食ってるときも。授業中のときも、自転車をこいでいるときも。どんなときにも一瞬ふっ、と現われる女の子の顔に、ほとほと嫌気がさしている(何にというと、自分に、だ)
そんで頭の中で、同時に呟く「ああ名前きいときゃよかった」なんて声にも、本気で嫌気がさしていた(なんなんだ俺)

………もしかして。はっとした。もしかして、俺がまたここに来て、意味ありげにぼけっと立っているのは、もしかして。(…あの子に、もう一回、会いたい、とかか?)
ポケットにつっこんだ手に、ぎゅ、と力を入れた。気づいたら唇もかみしめていたらしい。チクリと痛い。
(そうか、俺は会いたいのか)

なんなんだコレ。俺ってホントばかばかしい。嫌気がさす。
(………あー、もしかして、これって)


バカバカしすぎて、認めたくないなと。まだ青く生える空を見つめた。
「………名前、聞いときゃよかった」

聞こえた情けない声は、俺だ。





  


2007.11.08